豊かに繋がる、豊かに働く 豊かに繋がる、豊かに働く 豊かに繋がる、豊かに働く

豊かに繋がる、豊かに働く

今回取材させていただいた株式会社ドクターリフォーム・サンセイは、1973年にリースキン代理店として株式会社サンセイの名前で設立されました。その後1994年にドクターリフォームのブランド名で本格的リフォーム業に転換され、設計から施工までを一貫体制で行っています。加えて、現在は「暮らしを豊かに」するための環境作りに取り組んでいます。その活動の一環として、4年前にデザインレンタルスペース『暮ら箱』を造り、そこを拠点として地域のvillage構想も展開している会社です。

台風一過の秋晴れ、気持ちのよい午後の木漏れ日の中、宇都宮市岩本町にあるオフィスの一階で、代表の山口弘人さんとスタッフの増山さんにお話を伺ってきました。

仲間と経験を原動力に

「最初から決まっていたわけじゃない、ずっと辞めずに続けてきたから今がある」

まずは、山口さんに自身についてのお話を伺いました。驚いたことに、最初から建築の道に進もうと思っていたわけではなかったそうで、高校の時は何の目標もなかったとおっしゃっていました。そんな時に、「カタチに残り、結果が後世まで続く建築。そこに自分のリアリティを見いだせ、これだったら自分の意義を見いだせるのではないか。こういう逆説的な考え方もアリなのでは」と思い、建築を選んだそうです。その道中には辛いこともたくさんあったけど、それを辞めずに続けてこられたのは、そこで繋がった“仲間”と繋がり続けてきたことが大きいと山口さんは語りました。

「あの仲間がいる、だから建築を辞めない」

山口さんの仲間とは、日本建築専門学校(富士宮市)で、ともに建築を学んだ友人たち。全寮制の学び舎で、建築に一心に取り組んだそうです。今でも学生時代の友人に相談して、お互いの状況を報告し、モチベーションを高めあっている仲で、今回取材をした日にも、和歌山県から学生時代の後輩がいらっしゃることになっていて、そこからも山口さんの丁寧な人付き合いがうかがえます。

また、卒業後に東京で仕事をしていた山口さん。もともと宇都宮に戻ってくる意思はなかったということですが、お父様が倒れたことがきっかけで地元に戻ることを決めたそうです。東京での仕事と、息子として宇都宮に戻ることを天秤にかけた際に、後悔しない決断をするように帰ると決めたとおっしゃっていました。今でもこの決断に後悔はしていないそうです。そのお話を聞いた際に、山口さんは考え方のヒントをくださいました。

『愚者は経験に学ぶ、賢者は歴史に学ぶ』
「迷った時は、経験したほうがよい。その後の説得力がぜんぜん違ってくる。わかりやすくいえば、大変な方を選んだ方がいい」

この言葉が、就職活動などの進路選択を控えている自分に刺さりました。

「今の大学生にオススメする方向性の決め方のひとつとして、10〜15歳上の人で、自分がカッコいいと思う同性を参考にするといい。そうすれば、よりリアリティをもって、自信をもって選択することができるんじゃないかな」と、山口さんは話してくださりました。

建築という手法?

続いて、建築業である会社の考え方を伺ってみました。

「根本的に目指していることは“生活を豊かにすること”。建築はあくまでもそれのための手段である」

ドクターリフォーム・サンセイさんは、1年前から企業内保育施設『ばなな保育園』を運営していますが、これも生活を豊かにする手法のひとつであるそうです。手法は異なりますが、向かっている方向性としては同じであるとおっしゃっていました。その際に、人それぞれの豊かさを共創するHAPPYな選択を提案し、導いていくのが専門性のある私たちの仕事である、と山口さんは誇らしげに話してくださりました。

“おしつけ”を、しないために必要なのは、ヒアリングであると山口さんは教えてくださりました。私は一言にヒアリングというと、傾聴だとイメージしてしまったのですが、大切なのはその時に自己開示をして信頼関係やその方の生活感を知ることだと山口さんは教えてくださいました。

「手伝ってくれる、手伝わせていただくという関係性の中で、リアルにお互いの像が見えてくるんです」

・・・確かに、無意識のうちに山口さんにインタビューをしている間、私も自分のことについてたくさん話していることに気がつきました。山口さんも自身のことについて話してくださっていて、このことによってより話が潤滑になり、お互いに話しやすい環境が出来ていたのだと感じました。

働く環境作り

とても雰囲気のよいオフィス。会社の駐車場の一角には、シンボルツリーとみんなで作ったツリーハウスがあります(タイトルの写真)。ここで働いている方々は生き生きと仕事をしているように見えました。そこで山口さんに、働く環境づくりについて伺ってみました。

「ポイントとしては、やはり問題を感じた時や、おかしいと思ったことはすぐに解決すること。あとは、やはり自由に働いてもらったほうが力を発揮してもらえるので、信じて任せるところは任せています。お客様を喜ばせる目的のために、プロとしての仕事を遂行していれば、それでよいですね」

山口さんも、自発的な社風で、やりたいことをやることが、1番力になると答えてくださいました。会社の事務所も暮ら箱も保育園も、スタッフみんなでそれぞれの持ち味や得意分野を活かしながら作ったそうです。みんなで環境を作る社風を感じました。そして、そんな雰囲気作りや、まとめる力を山口さんに強く感じました。

ここで、ドクターリフォーム・サンセイで働いている増山真紀さんについて触れていこうと思います。増山さんは主婦の目線でリフォーム事業に携わりつつ、会社の地域貢献活動の分野も任されています。驚いたことに、元々はリフォームを委託したお客さんであったが、社風に惹かれて一緒に働く事になったということです。さらに、4人のお子さんのお母さんで、一番下のお子さんを企業内保育園に預けながら働いているというので驚きました。

山口社長と増山さん。企業内保育園に預けていたお子さんと一緒に。手にしているのは卒園記念品としてみんなで作った味噌。

「一度ここで繋がると、どんどん関係性が広がっていくし、ワクワクした人がたくさんいて楽しい」と、増山さんは笑顔で話してくれました。繋がる事で、豊かになる。確かにそれを実感しているようでありました。

もちろん、責任感から不安に感じる時もあったそうなのですが、「山口さんの、『やってみたらいいじゃない!』の一言に救われ、現在があります。一人で作るものではないので、周りの人が共感して一緒に作ってきて今がある。これからも楽しみです」と、増山さんは笑顔で語ってくれました。

地域活動とvillage構想について

山口社長の考えのもと、地域貢献・地域連携の活動が会社を拠点に始まっていますが、その発端としては、なにかをお願いするときに『信頼や信用』が大切であると考えたことであったそう。良い関係が築ければ、自然となにかをお願いするときに声をかけてもらえる。そんな関係性を大切にしたくて地域に目を向け始めたそうです。この関係性は“集客村”という考え方だと教えてくださいました。

転機になったのは、2008年に宇都宮花火大会の会長を務めたこと。そのときに、自分にとっての地元は宇都宮1つだと気がつき、地元への自覚が芽生えた山口さん。同時に、このリーダーの適性を感じ、この能力を地元のために使ってみたいと感じたそうです。

ここから派生し、2014年にデザインスペース『暮ら箱』を設立しました。キッチンもある、自宅のようなスペースは、地域の人が公民館のように自由に利用することができます。取材の日は、地域の方が、生徒さんとピアノのレッスンを楽しそうに行っていました。

さらに、2014年には敷地内で『暮らふと市』を実施、そして4年目となる今年の『暮らふと市』は地域を巻き込んで4地点での開催に。業種や世代の枠を超えたコミュニティが広がってきているそうです。

そして、今年からは、ドクターリフォーム・サンセイのスタッフと保育園のスタッフが中心になって、暮ら箱villageというコンセプトでの地域活動が始まっています。保育園に隣接する会社が借りている土地を使って、専門家を招いて地域の家族たちも一緒に生き物調査や環境整備活動を行っています。

「ここの活動に参加した人々には、人の繋がりや技術を持ち帰るように育てていきたい。」と、スタッフの方は話してくださりました。
このように、しなくちゃいけない!という外発的動機ではなく、〇〇がほしい、あったらいいな・・・が募り、自然な流れで自主的に地域が活性化していくのは、とてもよい流れだと感じました。

インタビュー・執筆
金敷奈穂|農学部農業環境工学科3年

山口さんへの取材を通して、改めて気づいたことがいくつかあります。一つは、迷った際はやってみたほうがよいということです。私自身、卒業後の進路について迷っています。〇〇したいけど、××が・・・と躊躇しがちですが、山口さんが「何をやるにもマイナスにはならないよ」とおっしゃってくれた時に、道が開けた感じがしました。今自分が悩んでいることは、リアリティに欠け、様々な仮定のもとでの話でした。そこに気がつけたのは、自分の中での大きな気づきでした。そこにいろいろな活動を行ってきた山口さんが語る、説得力を強く感じました。最高のアウトプットをするために、インプットをし続ける必要があるのだとわかったので、アウトプットを意識したインプットを大切にしていこうと考えています。
また、働いているスタッフの方がとても生き生きとしているのを見て、純粋に「いいな」と感じました。それは、みなさんが自分の得意不得意を理解して、頼るところは頼ることが出来ている“協働”が出来ているからではないかと感じました。そのためには、傾聴+自己開示をし、お互いのためにお互いを知ることが大切だと山口さんに教えてもらいました。そこから信頼や信用が生まれ、よりよい仲間になれる。この考え方はお客さんとの関係でも応用されていて、“ひとりひとりに寄り添った豊かな空間を造る”という共通の目的のために、共創する流れができるのだと思いました。
今回のインタビューを通して、山口さんのクリエイティブシンキングに触れることが出来ました。枠組みや、他者からの評価にとらわれず、自分が良い、必要だと感じることを選択する。その強さが結果として自分と周囲の豊かさに繋がっているのだと感じました。

  • よそ者が感じた栃木の食あれこれ