農業のサポート側に回って、学び気づいたこと 農業のサポート側に回って、学び気づいたこと 農業のサポート側に回って、学び気づいたこと

農業のサポート側に回って、学び気づいたこと

亀田さんは、益子町出身で、宇都宮大学農学部農業経済学科に学びました。卒業後は就農を考えていた亀田さんですが、はが野農業協同組合に就職して広報担当となり、農家のサポートをしながら農業のいろはを学んでいます。農家を支援する側に回ったことで、自分自身の中に大きく変化したことがあるそうです。それはいったいどういう変化だったのか?どんなきっかけがあったのか?亀田さんにお話を伺いました。

文系でも農業がやりたい

文系科目が得意で理系科目は全くダメという典型的な文系だったのですが、農業をやりたいという気持ちから農学部への進学を考えていました。文系でも農学部に進学できる志望校を探す中で、宇都宮大学に農業経済学科があることを知り、高校からの推薦を獲得し、進学を決めました。

親が農家というわけでもなく、家庭菜園をしていたわけでもないのですが、私はなぜか、小さいころから農業に興味があったんです。おそらく作物を育てることが好きなのか、自分で育てたものを食べたいという気持ちがあるのだと思います。

在学中に農業について学び、より農業へ興味をもつようになり、将来は自分も就農したいと考えて、就活中は現場で働ける職場を探していました。ですが、農作業が出来る女性を募集している企業が見つからず、就職先に困ってしまいました。そんなときに教授に紹介してもらったのが、農業協同組合(=農協)でした。地域農業に携われるなら!と思い、はが野農協への就職を決めました。

はが野農協には複数の部署があり、私は特に営農部という農家さんが出荷した青果物の流通販売をしたり農家さんに栽培管理等を指導するなど現場で活躍できる部署へ配属を希望していました。実際には、総合企画部という部署に配属されて広報担当になり、入ったばかりで農協をよく知らないのに広報担当だなんて、と最初は戸惑ってばかりでした。

写真提供|JAはが野 総合企画部

がむしゃらに働いて成長した

広報の主な仕事は、組合員向け広報誌の制作や日本農業新聞への記事投稿、農協のFacebookの更新などです。農協に加入している組合員さんにインタビューしたり、農協内外の出来事を取材したりして記事を書いています。

人に直接会い、話を聞くことが多い仕事なのですが、実は私は、電話で人と話す際に緊張したり、話を聞くことも大の苦手というほどの人見知りでした。苦手なことだからといって出来ないとも言えず、がむしゃらに記事を書くために、入組1年目にチャレンジ目標として農業新聞へ1年間で記事を100本投稿するというものを自ら設定しました。初対面の農家さんに取材を申し込んで直接会って話を聞いて、記事を作成するのはとても苦労しました。

ある時、大学時代に所属していたサークル「さとびと」(学生が農業体験を通して農業地域に住む方々と交流を行うサークル)でお世話になっていた地域の取材がありました。その地域が長年続けていた、農業体験受け入れ事業が終わってしまうという内容で、一生懸命記事を作成し農業新聞へ送稿した所、素敵な見出し文を付けて紙面へ掲載してもらえました。自分の力だけでなく人の手も加わり、素敵な記事になった喜びと、驚きがあり印象的な記事となりました。

ほかにも1年目には、自分が書いた記事が農業新聞で「読者が選んだ面白い記事」で受賞するという嬉しい出来事もありました。これらの出来事が自信になり、初対面の人にも緊張することなく取材することができるようになり、いつの間にか人見知りも克服できて、自分が成長したと思えるようになりました。

今では、インタビューする際に相手の方を気に掛ける余裕を持てるようになりました。相手の表情をみて、この人はどんな話題を投げたら話が弾みやすいのかを考えたり、会話の途中で相手の緊張を和らげる工夫をしたりしています。相手の気持ちが和らぐと、たくさんの情報を話してくれて、次回の取材につながる情報を得られることもあります。

はが野農業協同組合に就職して広報担当の亀田さん

出会いから学べることが多い仕事

広報誌は、農協職員が毎月組合員さんのお宅を1軒1軒訪問して手渡ししています。これを農協では「ふれあい」と呼んでいます。ふれあいによって、仲の良いおじいちゃんおばあちゃんもできて、お茶を飲みながら20〜30分程度おしゃべりするなど、踏み込んだ交流をすることが増えてきました。おしゃべりの内容は、天気のことだったり昔話だったり毎月ほとんど同じなんですけど、たくさん話してくれるのが嬉しいので何度も聞いています(笑)。

ほかにも農協では、お世話になった組合員の方に長く健康でいてもらえるように福祉事業も行っていて、入組して初めて「農協っていろんな事業やってるんだ!」と知ったことが多かったです。地元の街並みを「ここのガソリンスタンドや不動産も農協なんだ!」「ここの地域は耕作放棄地が増えてきたのかな…」と細かく見るようにもなりました。

入組前は農協のことをあまりよく知らなかったのですが、実際に農協に就職して働いてみると、いろんな角度で地域農業を支援していること、地域密着型であることを知り、農協に対する色々なイメージも変わり、今では、もし就農したら組合員になって農協を通して野菜を売りたいと思っています。

また取材で多くの人と話すことで、人の生き方にも注目するようになりました。印象に残っているのは、婿入りして米農家を始めた方です。これまで農業とは無縁だった人が、義父の指導によって、今では96ヘクタール(東京ドーム約20個)の農地を家族と共に耕作するまでになりました。この方の取材をした時に、農業と無縁だった人がこんなに広い土地を耕作できるようになり、今ではどういう思いで農業をやっていて、こんな風に作物を食べてもらいたいんだと話していて、「この人の生き方はおもしろい!」と思いました。

この人と同じように、私も、慣れない広報の仕事をがむしゃらに続けた結果、ものの見方や人との接し方まで変わり、人の生き方にも関心を持てるようになりました。学生時代、極度の人見知りだった私がここまでできるようになったのも、「習うより慣れろ」の精神でがむしゃらに働いてきたからだと思います。また、就職して農業を支援する側に回ったことで、より一層、農業や農業協同組合に対する想いが強くなりました。

これから進路を考える学生の皆さんも、選択した場所で小さな目標を立てて、まずはそこに向かってがむしゃらに動いてみると、面白いと思えることや苦手だったことが変わっていくと思います。またいろいろな角度で物事をみると、新しくおもしろい部分が見つかって、より何かに興味を持てるようになるかもしれません。

写真提供|JAはが野 総合企画部

インタビュー・執筆
長田一輝│地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科2年

インタビューをしてみて、話しやすく、聞き上手だったので、コミュニケーションをとることが得意な方だと思いました。しかし、亀田さんの学生時代は、電話対応も緊張してしまうくらいの人見知りだったのですね。仕事で多くの方と話さざるを得ない環境が、人と話す工夫や向き合い方までも変えたということに驚きました。就農したいという思いから、就職活動を行っていましたが、思い通りにいかないことも多いそうです。しかし与えられた環境で、がむしゃらに続けることで、新しい楽しみに気づけるようになることを知りました。私も、多くの人と話しておもしろい発見ができるように大学生活を送ろうと思います。自分が苦手だと思っていることも、慣れるまで続けていける努力をしていけたら、何か面白いものを見つけられると思いました。私は、地域の祭りに関心があるので、全国の祭りに参加させていただいて、地域がもつ力や魅力を知る活動も続けていきたいと思いました。インタビュー前に聞いた話ですが、某・道の駅の「ゆず塩ラーメン」がおいしいらしいです。私も今年中に食べに行きたいと思います!これも小さな目標ですね。

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