ガキ大将文化を継ぐ、NPO代表 ガキ大将文化を継ぐ、NPO代表 ガキ大将文化を継ぐ、NPO代表

今回は、宇都宮大学国際学部国際社会学科OBの“NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク”代表理事の岩井俊宗さんにインタビューをしてきました。今の仕事に就くまでに何があったか、仕事に活かされている学生時代の学びや、子どもの頃のお話、進路を決める上でのアドバイスを聞いてきました。

若者が問題解決の鍵になる

僕たちの数ある取り組みの中でも特に力を入れているものが2つあります。1つ目は、実践型インターンシップ(GENBA CHALLENGE)と言って、まちづくりや社会課題に取り組む組織(企業や団体)が抱える“課題”を敢えて学生に見せ、次に、どうしたらいいかを受入組織と一緒に考え、学生のアイデアを取り入れて解決していくインターンシッププログラムです。若者の「挑戦と成長」の場であり、受入組織の価値創造にも貢献します。

2つ目は「iDEA→NEXT」(アイデアネクスト)という、アイデアプランコンテストです。若い世代(10代〜30代)の人を対象として、地域課題の解決や社会を良くする活動に関する“アイデア”を発表してもらい、企業や団体がそのアイデアのブラッシュアップを手伝い、実現するために支援する。そういった提案者のアイデアとそれに共感した協力者の出会いの場を作り、地域をより良くしていく活動です。

実は大学の頃からNPOでご飯を食べられるモデルになりたいと思っていました。NPOと聞くと学生には、あまりなじみがないかもしれないけど、日本語では非営利組織と言い、利益を優先する一般企業とは異なり、社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のことです。ただ、非営利型の活動で生計を立て、家族を養っていくことは難しいという一面もあります。世の中の為になり、それで生活できるモデルを自分で作りたいと思って、卒業後、一番初めに就いた職場は、NPOを支援するサポートセンターでした。

ここでの仕事は、毎日違って本当に楽しかったです。印象に残っている相談で、かなり重い話しになってしまうんですけど、「娘が交通事故で植物人間になってしまったから、回復させて欲しい」というものがありました。相談者が病院や、社会制度に助けを求めたけど対応してもらえなかったと聞いたので、僕が実際に家に行って、詳しい話を伺ってみたんです。もちろん娘さんを回復させることは自分たちにはできないので、家族の負担を軽減しないといけないと思いました。なので、同じような境遇の家族が相互の相談をできるような「家族会」を作って、その場は一つの解決の形にたどり着きました。そんな問題が地域にはたくさんあって、センター全体で年間300〜400件のSOSを受けていました。この経験から、既存の制度や、ボランティアで救える限界を強く感じたんです。これを解決するには、自分一人ではなく、解決する人を増やさないと問題ばかりが増えていくと思いました。問題にぶつかったときに、当時うちにインターンしていた大学生が突破してくれることがよくありました。大人のように物事の段取りを考えることが先行するんじゃなくて、問題に対して直球で考えられるし、固定観念もないから、学生がかかわることで問題解決に近づくことができたのだと思います。

10年越しの思いを実現

卒論は、国際協力NGOの政策提言活動の実態について研究しました。教科書には、地域住民が社会問題を解決しようとしたとき、政府では出来ない新しい社会システムの提案(政策提言)をすることが大切だと書かれていました。当時(2003年)の国際協力NGOのリストがまとめられた本を調べると、500チームぐらい載っていて、目の前の人にサービス提供をする、例えば、現地に学校を作るといった事業はたくさんあったけれど、本来必要である未来を動かす仕組みの提案、つまり、政策提言を行っている事業は3チームしかありませんでした。その3チームに共通していたのが、財政のバランスがよく、収入の会費寄付、事業収入、外部からのお金(助成金、補助金)の割合が1/3ずつであることでした。政策提言は根拠の調査に時間とお金がかかるけれど、実際にうまくできるかわからないというリスクがある。学校を作るという事業より、寄付も集まりにくいし、寄付以外の事業収入や助成金などの収入を増やす努力が必要なんです。これらにより、継続的にNPOを運営していけるということを研究して論文にまとめました。ちなみに、うちのNPOの財政バランスはこの学びを意識しています。こうした組織を作る為に、ユースでは今年から、委員会制度を作っていよいよ未来の政策を作っていけるように仕掛けていくので、大学時代の研究も生かしているつもりです。

宇都宮大学国際学部国際社会学科OBの“NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク”代表理事の岩井俊宗さん

ガキ大将の延長線上を生きる

宇都宮で生まれて、小中高大学と宇都宮で育ちましたけど、近所には「上の人が、下の人を守る」というガキ大将文化が残っていたんです。低学年のときは守ってもらい、高学年になったら守ってあげるような文化が受け継がれていました。今みたいに、ゲームやスマートフォンがないから、裏山に行って基地を作ったり、川に釣りをしに行ったり、自分たちで考えて遊んでいました。その中で、世代の違う人たちが一緒に何かをすることがとても面白かったし、その時に感じたことが、今の働き方にもつながっている気がします。小学生の時、スポーツ少年団で、サッカーをやっていて、当時は単純にボールを蹴るとか、勝ち負けとかが面白かったけど、今考えると、サッカーを通じて「責任感や、全体を見渡す力、先読みする力」を養えていたのだと思います。ガキ大将文化もサッカー経験も、思い返してみると、今の自分の働き方やポジションにすごく影響していますね。

楽しさには理由がある

楽しいことをやりなさいってよく言われると思うけど、「何をしたとき」が楽しいかをちゃんと捉えたほうがいいなと思っています。「どこに楽しさを感じているのか」をちゃんと探して欲しいなと。例えば、今日のこの時間(インタビュー)が楽しかったと思うなら、それってなんで楽しく感じたのかな?と分解して考えて見てください。もしかしたら、普段接している僕と(※インタビュアーは大学で岩井さんの授業を受けている)違う一面を見られたっていう意外性が面白いのかもしれない。そうすると、意外性に出会う機会の多い仕事の方が鶴田くんにとって面白いと思います。意外性に出会う機会の多い仕事として、例えば、警察とか。日々事件があって毎日いろいろな意外性に出会えると思います。つまり、「楽しいって感じた!」だけで終わりにするんじゃなくて「どこに楽しさを感じたのか」を分解して掘り下げられるかどうかが自分の価値観や、進む道を教えてくれるヒントになると思います。最初は難しいかもしれないけど、分解して「なぜ」を問うことの練習は他人との対話の中でできると思うので、積極的に人とコミュニケーションをとることがいいと思います。

インタビュー・執筆
鶴田弘樹|工学部電気電子工学科3年

普段、講義では見せない意外な岩井さんを知ることができ、非常に面白かったです。岩井さんの軽快なトークと様々なエピソードに時間を忘れ、聞き入ってしまいました。また、常に「なぜ?」と起きた出来事を分解して考えることや、自問自答を通して、自分を理解していくことの大切さを学びました。今後の生活に取り入れ、活かしていこうと思いました。

  • オリオン通りの活性化
  • 余暇時間は増えた。ボランティアする時間は若い人ほど…!!