よそ者が感じた栃木の食あれこれ よそ者が感じた栃木の食あれこれ

栃木に引っ越してきて丸12年。その生活を振り返ると、生産者に近いところで食べ物を消費する毎日であることに気付く。直売所に行けば新鮮で安価な野菜が手に入り、生で食べても加熱して食べても味わい深い。ときには、ご近所さんが、玄関前に季節の野菜をお裾分けしてくれるし、農家さんに直接、野菜を買いに行くこともある。生産者に近づくことが容易になり、多くの苦労や課題を目の当たりにしたことで、消費するばかりでなく、自分でも生産してみたい!という気持ちも芽生えた。引っ越してきた、その年の冬、野菜作りに挑戦した。「伝統野菜である三浦大根は中央部が膨らんでいるので機械では抜きにくい、それで青首大根が主流になった」とか、「春菊は春まで放置しておくと菊のような花が咲く、だから春菊!」とか、様々なことを改めて畑から学んだ。

その冬は、もう一つ、大きな学びがあった。どこのスーパーに行っても、鮭の頭、大根、人参、油揚げ、大豆、酒粕、そして、洗濯板に山型の歯がついたような調理器具(後日、鬼おろしと知る)を見かけた。これまで経験したことのない料理メンバーだ。授業で聞いてみた。「しもつかれ」という郷土料理の材料らしい。その見た目や酒粕の風味で若者を中心に敬遠されがちな栃木人のソウルフードとのこと。農作業が始まる旧暦の2月を初午として、一年間の五穀豊穣を祈り稲荷神社にお供物をする。年間でもっとも食べ物がない時期に、正月から残しておいた鮭の頭、畑の土の中で保存した大根と人参、節分の豆、そして、稲荷大神のお使い、きつねの好物である油揚げで作り出したお供物、それが「しもつかれ」である。農作業に従事する人々の英知を結集させて何とかお供物を準備したい、その一心が伝わってくる農業国、栃木が誇る郷土料理といえる。現代的視点で捉えれば、究極のエコクッキングとも位置付けられる。

栃木にはまだまだ興味深い食が存在する。今年、現地に行って学んだ日光の「湯波」。京都では「湯葉」と記す。「湯波」と書くところにそれなりの意味を含むようだ。是非、「湯葉」と「湯波」を食べ比べていただきたい。詳細は現地へ!

文|地域デザイン科学部コミュニテイデザイン学科 教授 大森玲子
イラスト|教育学部美術教育 小林瑞歩
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