ものづくり豊穣の地に知とのうねりを期待して ものづくり豊穣の地に知とのうねりを期待して

栃木県は、地盤の安定した扇状地や平坦な台地と低地が広がる地質のもと、北から南に順に那珂川、鬼怒川、渡良瀬川の一級河川、さらに那須野ヶ原扇状地を流れる蛇尾川のような伏流水が流れる、水にも恵まれた地域である。このため工業にも適し、日本を代表する自動車メーカが栃木に存立し、それを支える裾野産業が伸長している。製造企業数は大小4,000社を超え、県内総生産額に占める製造業比率は30%以上、その製品出荷額は全国13位の規模と「ものづくり県とちぎ」を支えている。先端産業分野も成長し、今では航空宇宙、自動車、環境、光、医療機器の5つの分野の産業振興会が組織され、独自技術を持ち活躍している地元企業が多々ある。このような企業群が形成されていることも栃木の特徴の一つとなっている。

宇大陽東キャンパスの北側近くには平出、鬼怒川を越えた東側には清原、の二つの工業団地があり、いずれも30を超える製造メーカが控える。清原工業団地一体には栃木特有の平地林が生い茂り、近くには県産業技術センターの瀟洒な建物がある。これらの地域がいずれも自転車でも行ける距離に、工学部は位置しているのである。

さて、陽東キャンパスからベルモールに歩を進めると、ほのかなセピア色の明かりの街路灯が見える。蠟に代わる初期の明かりとして発明された瓦斯燈である。そう言えば、光学分野の研究は工学部の特色の一つともなっている。古生物学者のAndrew Parkerによれば、今日の動物の‘門’が出揃ったとされる“カンブリア爆発”は「眼の誕生」に起因するとされる。網膜の進化により光彩が脳で画像として認識されることで動物は進化し、ヒトはさらに感性(情)を手に入れることで飛躍的に脳を複雑・活性化させた。多様なものづくり産業をもつ栃木の地に、宇大が起点となり、産と学との連携による地と知のうねりが、新たな爆発=イノベーションを引き起こすかも知れない。

文|COC+推進室 特任准教授 藤井重男/工学担当 イラスト|教育学部美術教育 吉田夏希
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