プロスポーツ王国とちぎの自転車事情 プロスポーツ王国とちぎの自転車事情

ブランド力が低いといわれている栃木県でも、これはすごい、と思えることがたくさんあります。その一つが地元密着型のプロスポーツチームの存在です。栃木SC(サッカー)、リンク栃木ブレックス(バスケットボール)、H.C.日光アイスバックス(アイスホッケー)、ル・ボーセ モータースポーツ(カーレース)、そして、平成29年4月には栃木ゴールデンブレーブス(野球)も誕生する予定です。これだけの異なった競技のプロスポーツチームが、それも地域密着型で多数存在している県も珍しいと思います。

実は、これらに加えて、宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼンという自転車のプロチームが2つも存在しています。ツール・ド・フランスなどが日本でも知られるようになってきてはいますが、日本ではまだまだマイナースポーツである自転車競技、そのプロチームが2つもあることは、自転車を趣味にしている者からすれば夢のような場所なのです。

栃木県での自転車競技の充実は、宇都宮市による1990年の世界選手権ロードレース誘致から始まりました。そのメモリアルとして1992年からジャパンカップサイクルロードレースが開催され、宇都宮市内でのクリテリウムも追加されるなどしながら、平成28年には25周年記念大会をむかえています。日本国内のワンデーレースで唯一ヨーロッパの一流チームを招待できる国際規格のレースとなっていて、ヨーロッパの、すなわち、世界的にトップクラスの選手の引退レースにも選んでいただけるほど、その世界的な認知度は高いものです。また、今年の3月31日から4月2日までの3日間で栃木県内をめぐる「ラインレース(ステージレース)」である「ツール・ド・とちぎ」が国際規格レースとして開催されます。さらに、シクロクロスやMTBなど、悪路を走るレースも多数開催されています。

一方、一般向けとしても、のんびり走る「ポタリング」や美味しいものをメインにした「グルメライド」、また、100キロ以上走ったり、那須の険しい山登りを競ったりするような上級者向けの催しなど、栃木県内で毎週のように自転車を楽しむイベントが開催されていて、それぞれのレベルで参加することができます。実は、自転車って、各人の好きなように楽しむことができる、幅の広いものなのです。このように、日本国内としては非常に画期的な取り組みを数多く行っているので、自転車の街うつのみや、自転車推進県とちぎ、など、ブランドとして一般にも認知されるよう、今後も一層アピールをしていければ、と思っています。

さて、宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼンは、それぞれレース活動を行っているだけでなく、地域貢献活動にも、積極的に取り組んでいます。宇都宮ブリッツェンは、自転車安全教室や図書館連携事業、65歳以上を対象とした介護予防事業など、多彩な取り組みを積極的に行っており、レースの合間に、選手たちも参加して指導にあたっています。自転車安全教室は、これまでに40,000人以上の受講生を出しています。那須ブラーゼンも、那須ブランドのPR、那須地域の観光企画の提供など、自転車による那須地域の地域振興・観光商品化に協力しています。これらの活動に応える形で、多数の一般の自転車愛好家もボランティアスタッフなどとして、各種イベントなどへの協力を行っています。

このように、自転車競技のプロスポーツチームが単に存在しているだけでなく、走るフィールドの豊富さも素晴らしく、まさに、地域密着型として、栃木県の自転車文化は素晴らしいものになってきています。今後も、ますます盛り上げていければ、と思っています。

最後に、宇都宮大学としてのPRを。現在、農学部4年生の雨澤毅明君は、宇都宮ブリッツェン所属のプロロードレーサーとして活躍しています。学業と両立させながらトレーニングを積み、U23日本代表選手としてアジア選手権大会へ出場したり、ヨーロッパなどへの海外遠征にも派遣されるなど、次世代のエース候補として頑張っています。今後の活躍に期待しましょう。

文|理事/研究・産学連携担当 池田宰 イラスト|教育学部美術教育 和良品美桜
  • vol.07|自分にあった仕事が充実した人生を創る 木村拓馬さん
  • ものづくり豊穣の地に知とのうねりを期待して