国内でカンピョウと言えば栃木県を思い浮かべる? 国内でカンピョウと言えば栃木県を思い浮かべる?

皆さんはカンピョウ(干瓢)をご存知ですか? 巻き寿司や太巻き寿司の中心にある得体のしれないもの、ちらし寿司の具、煮物の昆布巻きや揚げ巾着、ロールキャベツの帯など様々なイメージをお持ちと思いますが、元々はウリ科ユウガオの果実をひも状に剥き、天日乾燥させた食品です。国内産地は、ほぼ栃木県南部に集約されています。しかし、スーパー等で販売しているカンピョウは殆どが輸入品です。栃木県産カンピョウの出荷量は約380トン、これに対して輸入量は1,700トン、輸入先はほぼ中国です。1990年までは栃木県産のカンピョウ出荷量は1500トン程度でしたがその後急落し、2000年頃からは微減で推移しています。カンピョウ生産量の減少は、安価な輸入と過酷な生産が原因と言われています。

カンピョウ生産はほぼ8月に行われ、午前3時からユウガオ果実(ふすべとも言います)を通常100〜200個(果実1個は6〜8kgありハクサイ以上の重量物野菜です)程度収穫します。収穫後、自宅でカンピョウ剥き作業です。ユウガオ果実を金属製の棒で貫通させ、上下逆にカンピョウ剥き機に設置し、金属棒を中心に高速回転させながらカンナと言われる切削刃を押し当て、幅約40mm、厚さ約2mmで削り出して行きます。ベテランのカンピョウ剥き名人は秒速2〜5mでユウガオの切削帯を削り出し、補助者(通常は奥さん)が目にも止まらぬ速さで約2mに切り揃え、竹竿に掛けて行きます。削り出したユウガオの帯は互いに触れないように間隔を空けて竹竿に吊るされ、天日乾燥されます。乾燥時間は晴天時で1日8時間程度必要です。午後4時には乾燥させたユウガオ帯を収納するので、逆算すると午前8時には全ての剥き作業を終了しなければならず、規模が大きくなるほど早朝からの作業になります。これがカンピョウ生産が超早朝作業になる理由です。カンピョウ剥き名人が作るカンピョウは高値で取引され、そのカンピョウの多くは関西に運ばれ、高級和食料理に使われているそうです。かなり以前、カンピョウ生産工程の機械化・高品質化を研究していた頃、高級カンピョウの集約的生産拠点“カンピナート”を構想しました。色々なハードルがあって実現できませんでしたが、実現していれば国産カンピョウ市場を牛耳っていたかもしれません(笑)。

ユウガオ果実の収穫から切削、乾燥、調製の作業スケジュール一例

ユウガオ果実の収穫から切削、乾燥、調製の作業スケジュール一例
乾燥工程は、長期保蔵を可能にするため水分20%未満を目指す。初日の乾燥で水分が下がりきらない場合に2日目の乾燥を行うが、長時間の天日乾燥は変色(褐変)の原因になるため、水分が下がり次第調製作業に移行する。

ハクサイ以上の重みがある、ユウガオ果実

ハクサイ以上の重みがある、ユウガオ果実

カンピョウ剥き機

カンピョウ剥き機

文|農学部附属農場 准教授 柏嵜 勝 イラスト|教育学部美術教育 小林瑞歩
  • vol.06|何が大切なのかを考え、丁寧に生きる 田中えりさん
  • とちぎの高齢社会事情